ライブアイドルと、若手お笑い芸人。
表現の形こそ違えど、なにかと共通点の多いこの二つ。
筆者はアイドルライターとして筆を執らせていただいていると同時に、普段は東京でのライブ出演を中心に活動する若手お笑い芸人でもあります。
そんな私の、業界入り前からの同い年の旧友であり、奇しくも同時期に業界に身を投じた、名古屋を中心に活動するアイドル、七瀬聖(プリンセス物語)。
そんな彼女が今回、グループからの卒業を発表したということで、気の合う親友として、また、同じく業界で戦ってきた仲間として、対談の場を設けることに。
彼女が2年半の活動を経て感じたこと、アイドル業界への想い、エンタメを志してきた友人同士だからこそ言える本音を熱く語り合ってきました!!
プリンセス物語ファンの皆様はもちろんのこと、全てのライブアイドルファンの皆様、そして今まさにステージに身を投じている皆様に、届けたい記事となっております。
ぜひ、最後までお付き合いください!
こちらの<前編>では、プリストでの2年半を振り返りながら、どんな思いで活動してきたのか、書いてて不安になるぐらい掘り下げて話しております。お楽しみください。
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今回の対談の会場は、名古屋市熱田区にひっそりと佇む【Bar輪倶(リンク)】。
バリのデザイナー監修の元、シックで落ち着いた空間が広がる店内で、おしゃべり好きなマスターが軽妙に歓迎してくれます。
プリンセス物語のオフ会などでも使用され、七瀬・堤はプライベートで訪れることもあるなど、ゆかりのある場所で、二人が本音で語り合います。
堤:まずは乾杯しときます?
七瀬:そうね!!
堤:お疲れ様です!!
七瀬:いえーい!!
堤:対談にあたってさ、我々バイト先で出会って4年ぐらいの付き合いになるけどさ
七瀬:もうそんななるんだ
堤:改めて振り返ってみたら、俺らちゃんと休みの日に遊びに行ったことなくない?
七瀬:確かに、毎回なんかのついでだわ
堤:仕事終わりに飯とか、ライブ前に買い物行く、とか
七瀬:遊んだことないね(笑)
堤:「仲良い二人の対談」って銘打ったけど、完全プライベートで遊んだことないのよ俺ら
七瀬:……いや!!ランチ行ったやん!!
堤:あったわ、美味しいガーリックトースト食べたわ
七瀬:……その後何した?(笑)
堤:学校終わりのみゆちゃん(白倉みゆ)拾って湯〜とぴあ宝の現場行ったのよ、結局仕事じゃん
七瀬:ううん!その日私出演者じゃなかったもん
堤:でもチェキスタしたでしょ?
七瀬:したね……結局仕事だ(笑)
堤:あれが、俺が初めてプリストに直接関わった頃だから、ちょうど一年前だね
七瀬:一年しか経ってないんだ!?濃かったですね
堤:色々ありましたね
【プリストに入った経緯】
七瀬:きっかけは、ミュージカルに出たくて、ミュージカルでいい役を取るために、アイドルになろうと思って
堤:それ、知り合ってすぐの頃聞いた時感心したのよ。「そんな段階踏むって選択肢浮かぶんだ……」って
七瀬:いきなり集客なんてできませんからね(笑)
堤:我々インディーズシーンの演者の避けては通れない現実ね(笑)
元々ミュージカルを目指してアイドルになったという経緯は、アイドルとしてのパフォーマンスにも現れていたという。
堤:ミュージカルって本当特殊技能だよね。一応俺も中学・高校と学生演劇やってた上で思うけど、「演技しながら歌って踊ってなんてできねーよ!」って
七瀬:むしろ歌とダンスが入った方がお芝居しやすい
堤:しやすいってすごいね
七瀬:身体表現が好きなんだと思う
堤:それはミュージカル出身ならではだね
七瀬:プリストの曲でも、まず歌詞をセリフを読むみたいに目を通して、感情を込めて、それに合わせた踊り方をする、っていう
堤:歌詞をミュージカルのセリフとしてアイドルを演じる、みたいなこと?
七瀬:そうそうそう
堤:それってアイドル業界でも特殊なパフォーマンスとの向き合い方だよね
七瀬:普通のお芝居と比べても、ミュージカルって最初から振り付けがついてるから、「自分で動き決めなくてラッキー」って思ってる
堤:この2人で喋ってるとやっぱお芝居の話になるね(笑)
七瀬:何の話してたんだっけ?(笑)
堤:プリストの活動についてよ
【2年半経っても変わらないこと】
堤:2年半活動して、加入した時と今で気持ちってどう変わった?
七瀬:変わったところももちろんあるけど、変わらずにあるのは、「自分が引っ張ってかなきゃ」ってずっと思ってたこと、かな
堤:それはなんで?
七瀬:一応サファイアクラスの学級委員長だったっていうのもあって、プリスト全体のリーダーはいないけど、締めるときは学級委員長がやらなきゃ、一応アイドル経験者っていうのもあるし、引っ張ってかなきゃ、って思ってる
堤:って2年半思ってたんだ
七瀬:今も思ってる、だから、どうプリストを次に繋げるために卒業までの期間動けるか、って考えてる
堤:それすごいよね、だって卒業したらもう自分はプリストにいないんだぜ?よくそこまで誰かのためだけに動けるよね
七瀬:あなたもですよ?
堤:何がよ
七瀬:今日、これのためだけに東京から名古屋に来たじゃん
堤:それは俺がフッ軽なだけよ(笑)
七瀬:いや同じようなもんよ
堤:でも思うのは、お笑いをやってきた俺が、あなたというご縁があってプリストと関わるようになって、「アイドル業界っていいな」って思えて、あなたに背中押してもらって書いた記事がきっかけで、今Zeppに取材行ったり、アイドル番組でレギュラーMCまでやらせてもらってるわけで、なんかもう、ありがとうございます、って気持ち
七瀬:でも最近ね、そうやって言ってもらえることがすごく多くて。「あの時七瀬さんがこう言ってくれたから……」みたいに言ってもらえたり。なんか、知らないうちに人の背中を押せてたみたいで
堤:ちょっとドヤ顔すんなよ(笑)
七瀬:へへへ(笑)でも、意識してたわけじゃないけど、周りの人の背中を押せてたのは、いいアイドルだったのかもしれないな、って思います
堤:でもそれは、「卒業までの期間でプリストに何ができるだろう」って自然に思える人だったからこそだと思いますよ。……でも逆に言えば、そういう感じだから、ファンの人に「あの子はあんなに多才なのに、なんで自分をアピールするのは苦手なんだろう」って言われたりするわけでしょ?(笑)
七瀬:私ね、メンタル的にはアイドル向いてないのよ、よく2年半も続けたなって思う(笑)
堤:続けられた動機ってなんだろうね?
七瀬:プリストが変なグループだったからだと思う。
堤:なるほどね!(笑)
七瀬:メンバーも変わった子が多くて。グループでの活動も、お笑いライブだったり、朗読劇だったり、篠島の海開きのイベントに参加したり、企画が面白いじゃん。
堤:プリストの運営さんこそフットワーク軽いよね
七瀬:あとは、この前の私の生誕祭でも、ショーを組ませていただきまして
堤:我々も漫才やらせていただきましたね
七瀬:のびのび色々できるから、プリストにいたんだと思う。何回も「辞めよう」って思ったけど、それでも続けてたのは、次に面白い企画があったから、「え、それ参加したい!」ってなったから。
堤:うわ超素敵な話じゃない
【サファイアクラスへの思い入れ】
七瀬:2年半の振り返りか……最初、12人のメンバーが決まって、レッスンが始まったんだけど、ある時急に、「二つのクラスに分けます」って言われまして
堤:最初から別れてたわけじゃないんだ
七瀬:それでダイヤモンドクラス、サファイアクラスに分けられて、私はサファイアの学級委員長をやることになったんだけど。ある時、とある噂が流れて。
堤:ほう?
七瀬:「ダイアモンドクラスを先に売り出して、サファイアはその後に」みたいな
堤:なるほど!!
七瀬:ホントか嘘かはわかんないんだけどね。それがサファイアのみんなの耳に入るんだけど、そこでしょげる子達じゃなかったのよ。「いっちょやってやろうぜ。絶対ダイヤより先に売れるよ」って。
堤:いいねぇ!!熱いね!!
七瀬:で、最初にクラス毎にカバー曲を披露することになったんだけど、「その振り付けをオリジナルで作ったら見応えあるんじゃない?」ってなって
堤:おお!!
七瀬:で、メンバーみんなで一人一人分担して、Aメロ担当、Bメロ担当、って振り付けを作っていって。
堤:そうやって振り付けを一曲の中で分担することってよくある話なの?
七瀬:なくはないけど、まとまらなくなることが多い。でもその時は上手く行ったから、サファイアメンバーの結束がすごかったんだと思う
七瀬:そしたら、ダイアのメンバーで「サファイアに入りたい」って言ってくれる子が出てきたりもして。
堤:すごいわ、してやったりじゃん。聖ちゃんがすごいのがさ、毎回そうやってスタートがちょっと逆境なのに、ちゃんと捲ってくるじゃん。すげえよなあ。俺だったらやる気なくなっちゃうよ。
七瀬:「このまま終われねぇな」ってなったんだよね
堤:だって昔は歌も苦手だったんでしょ?
七瀬:うん、めっちゃ音痴だった、ダンスも苦手で、大学でメンバーから外されたりしてた
堤:すごいよなぁ、訳わかんないよ(笑)
七瀬:そっから1年目、学業だったりでサファイアのメンバーが揃わなかったんだけど、2年目に入ったあたりでやっとサファイア6人揃って、初めての私の生誕祭があったんだけど、その直前にメンバーが1人抜けちゃって。その子と生誕祭でユニットをやる予定で、色々準備してたから、その時がプリストやってて一番凹んだかも。
堤:「自分の表現したい事」と「負けん気」で走り続けてるキャリアだよね、本当に
七瀬:でもそれ以降は、小さい揉め事とかはなかったわけじゃないけど、割とグループ全体が安定してた気がする
堤:それこそサファイアって特に仲良かったイメージだわ
七瀬:「次のカバー曲どうする?」「面白い事しようよ」みたいな、みんなで言い合ってね、それぞれメンバー同士、パフォーマンス面でリスペクトがあって。プリストはもちろん好きだけど、サファイアが好き
堤:なるほどね
七瀬:今回卒業するってなったのも、9月に入ってきた新メンバー3人(柊、湯丹、こゆ)はまだクラスが発表されてなくて。事実上クラス分けがなくなったから、未練が無くなったのも、理由の一つかもしれない
堤:ドラマがあるね。AKBさんとか見てても思うけど、選抜非選抜とか、総選挙とか、優劣つけて悲しむ人も生まれる仕組みだけど、そういうところからドラマって生まれるんだろうなぁ、ってサファイアを通して思ったわ
七瀬:でも私がプリストの活動で一番食らったのも、総選挙だけどね
堤:そうだったねぇ
七瀬:あれで私、最下位を取ったじゃない。正直、「最下位を取ってまで、グループにいる意味ってなんだろう」って思って。今思えば、あの時も、「グループの為」って姿勢だったから、順位に繋がらなかったのかな、とも思うけど。
堤:選挙に限らずずーっとそうだけどね(笑)
七瀬:これまでも色々悔しい思いはしてきたけど、完全に「負け」「挫折」って結果が出たのは初めてだったから、ね。
堤:人生でもそうそうないからね。「この中であなたの努力が一番劣ってます」ってはっきり言われる瞬間って
七瀬:だからもう、人の頑張りに順位はつけるもんじゃない(笑)。テストとか、数字がはっきり出るものは別だけど。みんな頑張ってんだから(笑)
堤:ちゃんと人の痛みが分かる人だよな、って思う。俺さ、聖ちゃんがよく言う「人類みなメンヘラ理論」がすごい好きでさ。今、メンヘラな部分が表れてるかどうかっていうあれ
七瀬:みんな全員ヘラってる部分は持ってて、それを出さずに制御できてるか、っていうね。みんな弱い部分は持ってんだから
堤:そういうことをよく言うから、聖ちゃんの特典会って、時々スナックのカウンターみたいな雰囲気になるよね
七瀬:そうそう(笑)
堤:多分聖ちゃんのことを好きな人って、人間として好きな人が多いよね。もちろんパフォーマンス面とか、スター性とかもあると思うけど、人としての深みの部分に惹かれてるんじゃないかな、って見てて思う。
それこそ俺みたいな、どこの馬の骨とも分からんような若手芸人が、メンバーの友達っていう関係性でプリストに関わりはじめて、なんとか受け入れてもらえてるのも、聖ちゃんの人間的信頼あってこそだよね。
堤:だから、総選挙で評価される側面に関してだけ言えば、他のメンバーに比べて劣ってる部分もあったのかもしれないけど、それは結局一側面でしかなくて、他のアイドルさんにリスペクトされてライブに呼んでもらえたりとか、外部の人との新しい繋がりで企画が広がっていったりとか、いわゆる分かりやすいアイドルとしての魅力以外の部分で、アイドルとしての能力や魅力をすごい持ってる人だな、って思う。
七瀬:ありがとうございます(笑)
堤:よし、ずっと思ってたことを言葉にできた(笑)
七瀬:でも、「七瀬さんのおかげで変われました」って言ってもらえたりした時に、「人してアイドル」でいれたんだな、アイドルやっててよかったな、って実感できたかも
堤:なんのためにアイドルが存在するかって、例えば、人に元気を与えるとか、背中を押すとか、癒しを与えるとか、色々あるけど、それって平たく言ったら人に影響を与えるってことだから、ちゃんと満たしてたんじゃないかな、って思うよ
七瀬:それは最近自分でも実感できたから、「良かった」って気持ち。
<後編へ続く>
後編では、とにかくパフォーマンスにこだわってきた七瀬聖のステージにかける想いを、同じくステージに立つ演者として活動する、堤と共に語り合いました!こちらも併せてお楽しみください!
七瀬聖 卒業ライブ
「G-STAGE -Another worldへの旅立ち-」
2023.12.30 18:00 START
@レジェンドホール
↓チケットリンク
https://t.livepocket.jp/e/g-stage_another
プリンセス物語 七瀬聖 公式X(旧Twitter)
https://x.com/pristo7se?s=21
ふたりはリバース 堤悠真 公式X(旧Twitter)
https://x.com/reversetsutsumi?s=21