12月30日にKT Zepp Yokohamaで開催されるワンマンライブをもってPeel the Appleを卒業する春海りおさん、広島世那さん。
本記事では、同じタイミングで卒業を迎えることになった経緯をはじめ、これまでの活動を振り返りながら、それぞれが感じてきたターニングポイントや、Peel the Appleで過ごした時間が自身の人生に与えた影響、そして卒業後に思い描いている未来について話を聞きました。
お互いをよく知る二人だからこそ語れるエピソードの数々からは、それぞれの歩みと、グループで過ごした時間の濃さが伝わってきます。
さらに、ラストシングルとなる新曲「ぎゅっと、冬恋。」に込めた想いや最後のワンマンライブへの思いについても語ってもらいました。
Peel the Appleとしての集大成を前にした、卒業直前インタビューです。
——今回、春海さんと広島さんが同じタイミングで卒業が決まっています。これは偶然だったのでしょうか?
広島
完全に最初から一緒に決めていた、という感じではないんです。
それぞれの中で「そろそろ卒業を考えたいな」という気持ちが出てきて、話していく中で「だったら時期を揃えたほうがいいのかな」と思うようになりました。
春海
それぞれ考えていたことがあって、話し合いながら決まっていった感じです。
——改めて、卒業を決めた理由を教えてください。
春海
私は5年間活動してきて、年齢的にも、周りが大学を卒業したり、新しい道に進んだりするタイミングになってきて。
自分の人生を見つめ直した時に、「アイドルはやりきったな」と思える瞬間が増えてきたんです。
——「やりきった」と思えたのは、大きいですね。
春海
過去にも2〜3回くらい、卒業を考えたことはありました。そのたびに事務所にも相談して。
でもその時は「まだ頑張れる」「まだやりたいことがある」って思えたんですよね。
今回は、自分ができることは全部やれたんじゃないかな、後悔はないな、って思えて。
ワンマンライブで大きなステージに立てたり、普段の生活ではできないような非日常な体験もたくさんさせてもらいました。
広島
私は、活動休止を1ヶ月半したことがきっかけです。 その期間で少しずつ未来のイメージが見えてきて、「このタイミングで卒業して、次のステップに進むのが一番いいな」と思うようになりました。

——卒業後のことも、少しずつ考えているんですか?
春海
まずは旅に出たいです。アイドルをしていると長期でお休みを取ることがなかったので、自然に触れ合って、心をリセットしたいなって。
それから、アルバイトもしてみたいです。オーディションを受けたのが高校生だったので、ちゃんとしたバイト経験がなくて。
社会経験を積みたいですし、飲食店で接客業にチャレンジしてみたいなと思っています。
広島
私はこれまで、アイドルとして目の前のことを必死に頑張ってきた感覚が強くて。
正直なところ、あまり先のことが見えていなかったんです。
今は大学に通っているので、 資格の勉強をしたり、将来に向けた準備をしていきたいと思っています。
あとは…友だちとたくさん遊びたいです(笑)アイドルをやっていると、時間がどうしても限られていたので。
出会った頃の印象は「清楚」だった?
——お二人が初めて会った時の印象を教えてください。
春海
一番最初に会ったのはオーディションかな。既存メンバーが面接をするタイミングだったと思います。
その前に「広島ちゃん、歌が上手いよ」って他のメンバーから話を聞いていて。「広島に住んでる子なのかな?」って勘違いしてたんです(笑)
実際に会ったら、花柄のワンピースを着ていて、すごく清楚な雰囲気で。
お淑やかで、静かな子なんだろうなっていうのが第一印象でした。
——今はイメージ変わりましたか?
春海
最近はワンピース着てる?って思うくらい見てないです(笑)
意外とカジュアルだし、人見知りなだけで、言うことは結構ズバズバ言うタイプでした。
——例えばどんなことを言われましたか?
春海
私が思いつきで「バイトしてみたい」とか言うと、ちゃんと現実的なアドバイスをくれるんです。
年下なんですけどすごくしっかりしていて、友だちにはいないタイプ。
友だちとは違う視点の意見をもらえる存在ですね。
広島
私は加入した当初、メンバーそれぞれのキャラがあまり分かってなくて。
レッスンを見ていて、「人とあまり群れない、一匹狼タイプなのかな?」って思ってました。
でも実際は人懐っこい!
今では二人でディズニーに行くくらい仲良くなりました。
春海
加入当時、「顔が似てる」ってファンの方に言われたこともあったよね。
今では 「りおせなコンビ」って呼ばれてます!
活動の中で感じたターニングポイント
——これまでの活動を振り返って、「ここで変われたな」と感じた瞬間はありますか?
春海
2年前に2週間、活動休止した時期があって。
その後の復帰ライブが、今でもすごく印象に残っています。
——復帰のステージは、特別な思いがありますよね。
春海
対バンで休むことってあまりないので、「自分がいなくてもグループが進んで、自分は戻れなくなるんじゃないか」って不安だったんです。
でも実際にステージに立った時、「休んでも、まだ応援してくれている人がいる」って、目で見て、肌で感じられて。
その瞬間に「まだ頑張ろう!」って思えました。
——広島さんにとっての転機はどこでしたか?
広島
私は、活動休止そのものが大きな転機でした。
一番したくなかった選択だったので、不安も大きくて、無期限というのもあって頭の中がぐちゃぐちゃでした。
でも休止期間中に、友だちがたくさん支えてくれて。
いろんな意見を聞く中で、少しずつ自分の考えを客観的に見られるようになったんです。
ライブ映像で、メンバーが私の歌をカバーしてくれているのを見た時に、「このままでいいのかな」って思ったんです。
復帰を決めた時も、「自分がこうしたい」より、「周りのためにどうするべきか」を考えられるようになって。
そういう意味で、大人になったなと感じました。
デビューライブは、人生が変わった瞬間
——これまでたくさんのステージに立ってきたと思いますが、特に印象に残っているライブはありますか?
広島
やっぱり、デビューライブですね。
それまで時間が本当にカツカツの中でレッスンをしていて、自分である程度振りを覚えないとついていけない状況でした。
ダンスもやったことがなかったので、毎日頭がいっぱいいっぱいで、正直余裕はなかったです。
——それでも迎えた本番は、やっぱり特別でしたか?
広島
本番でステージに立った瞬間、ファンの方が自分の色のペンライトを振って迎えてくれて。
「あ、自分はアイドルになったんだな」って、その時初めて実感しました。
それまでの人生とは、180度変わったなって思いました。
——春海さんはどうですか?
春海
去年の野音のワンマンですね。そのライブで、黒嵜菜々子と松村美月が卒業したんですけど、長年一緒にやってきた仲間を送り出すのが初めてで。しかも、背中を押す側、残る側として迎える卒業だったので、いろいろ考えさせられました。
リーダーと、グループの中心だった二人がいなくなるって聞いたときは、「この二人が抜けたら、グループの色が変わっちゃうんじゃないか」「これからどうなるんだろう」って、不安も正直ありました。
でも今年から新体制になって、任せてもらえることも一気に増えて。歌割りも体感で言うと3倍くらいになって、「あ、自分がちゃんと先輩にならなきゃいけないんだな」って、意識が大きく変わったタイミングでもありました。
もしPeel the Appleじゃなかったら
——もしPeel the Appleに入っていなかったら、どんな人生を送っていたと思いますか?
春海
進路を決めないといけない高校1年生の時期に、オーディションに受かったんです。
いわゆる進学校で、周りの友だちもみんな勉強、勉強っていう環境で。
——全然違う道ですよね。
春海
そうですね。
オーディションに落ちていたら、「勉強を頑張って、いい大学に入ろう」って思ってました。
勉強しているだけじゃ見られない景色や経験を、本当にたくさんさせてもらいました。
悩むこともあったけど、それを消し去るくらい濃い経験ができたので、結果的にこの道で良かったなって思っています。
広島
私は、大学に入学するタイミングでオーディションに受かりました。
その後、大学との両立が難しいと分かって、休学することにしたんです。
——かなり思い切った決断ですね。
広島
もし普通にオーディションに落ちていたら、今ごろ就活の真っ最中だったと思います。
この業界に入れたこと自体、本当に良かったなって思っていて。
人間性もすごく変わりましたし、考え方も大人になったねって言われることが増えました。
普通に大学生活を送っている人と比べると、5倍くらいは濃密な経験をしていると思います。
精神的にも、すごく鍛えられました。
——お二人とも、ずっと芸能界を目指していたんですか?
春海
実は、このオーディションを「最初で最後」にしようと思っていました。
芸能界を目指していた、というよりは、自分の中での思い切った挑戦だったんです。
——ニジマスオーディションのファイナリストが、Peel the Appleの結成メンバーとして活動するかどうかを選ぶ最終局面で、春海さんは一番最初に部屋に入っていたのが印象的です。
春海
ファイナリストになれた時点で、もう「勉強かアイドルか」っていうより、気持ちはかなりアイドルに傾いていました。
「今やらないで後悔するくらいなら、今やろう」って思って、すぐに決めました。
周りのメンバーからとは「相談しちゃダメだよ」って言われていたので、自分の中で考えていて。正直に言うと、みんなが悩んでいる部屋の空気が重すぎて(笑)
自分の中ではもう答えが出ていたので、「もう行っちゃおう!」っていう気持ちでした。
——広島さんはどうですか?
広島
私はライブアイドルにすごく詳しかったわけではなくて。
48グループを受けていた時期があって、でもうまくいかなくて。
その時に友人からこのオーディションを勧められて、「これが最後のチャンスかもしれない」と思って受けました。
結果的に、ここまで続けられて、本当に人生が変わったなと思います。
ファンの存在が、すべての原動力
——改めて、ファンのみなさんへの思いを聞かせてください。
春海
感謝の気持ちしかないです。
この5年間を続けてこられたのは、ファンのみんなの存在があったからだと思っています。
りおのことを本当に好きで応援してくれる人が多くて。
一途な方も多いですし、話していても「本当に好きなんだな」って伝わってくることがたくさんありました。
卒業は寂しいですけど、みんなの心に残る存在でいられたら嬉しいです。
忘れないでいてほしいなって思います。
広島
私にとっても、すべての原動力がファンのみなさんの存在です。
活動と学業の両立を頑張れていたのも、応援してくれる人がいたから。
楽しい気持ちも、辛い気持ちも、全部一緒に共有してきました。
SNSが思うように動かせない時や、至らない部分があっても、「頑張ってるね」って優しく声をかけてくれて。
本当に、ありがたい存在だなと思っています。
——残るメンバーに伝えたいことは何ですか?
春海
メンバーは本当に優しくて、素敵な子たちばかりで、絆もすごく深いんです。だから、Peel the Appleとしての私はここで一区切りになるけど、これからは応援する側で一ファンとして、これからのPeel the Appleを見守っていきたいです。
広島
これまで本当にいろんな試練があって、そのたびにみんなで協力して乗り越えてきました。だから、これから新体制になってまた大変なこともあると思うんですけど、その経験があるからこそ、きっと大丈夫だと思っています。
Peel the Appleの一番の強みは、その“力強さ”だと思うので、そこを武器に、これからも頑張ってほしいです。
新曲「ぎゅっと、冬恋。」に込めた思い
——新曲「ぎゅっと、冬恋。」についても聞かせてください。
春海
この曲が、私にとってはラストの楽曲になります。
初めて落ちサビを任せていただいて、レコーディングの時はすごく緊張しました。
でも、その分すごく頑張ったので、ファンの方にも喜んでもらえたら嬉しいです。
冬曲のMVも初めてで、ずっと撮ってみたかったコート姿での撮影ができたのも印象に残っています。
お気に入りの歌詞は、 「凍えないようにちゃんとあたためていてね」。
“あたためていてね”っていう言葉の響きが、すごく好きです。
広島
私とりおちゃんの二人がメインの歌割りの曲だと聞いて、すごく緊張しました。
でも、今後レコーディングする機会ももうないと思って、全部全力で取り組みました。
「誰にだって優しいところも好きだけど 私だけ見ていて欲しいの」という歌詞は、自分のパートですごくお気に入りです。
ピュアな女の子って感じがして、可愛いなって思います。
12月30日、最後のワンマンライブへ
——12月30日のワンマンライブについて、改めてメッセージをお願いします。
春海
5年間活動してきたので、私のことを一度でも好きになってくれた人には、ぜひ来てほしいです。
卒業の日は、この日しかないので! グループとしても、個人としても、集大成になるように全力で頑張ります。
広島
メンバーみんなでレッスンを重ねていて、「いいライブにしたい」っていう気持ち一心で取り組んでいます。
ぜひ会場で見届けてほしいです!


