関西を拠点に活動する7人組アイドルグループ「tune time capsule(チューンタイムカプセル)」のメンバー、日富ひよ。大阪大学に通う現役大学生でありながら、かつてはBリーグのプロチアリーダーとして2シーズン活動。さらに、大阪・関西万博でのボランティアなど、多彩な経験を持っています。
2026年9月13日、神戸・TOTTEI PARKで開催された「KOBE DRIVE LIVE Vol.4」に出演した彼女は、ステージ上で「ただいま!」と声を上げました。
かつてチアリーダーとして立っていた場所のすぐそばに、今度はアイドルとして帰ってきたのです。
「自分がやってきたことが、点と点でつながった」
そう語る彼女の笑顔の裏には、絶え間ない努力と、人を応援することへの強い思いがありました。
チアからアイドルへの転身、グループへの思い、そして多彩な挑戦を続ける原動力について話を聞きました。
チア未経験からプロの世界へ。「人一倍準備して臨んだ」オーディション
ーーまずは、Bリーグのチアリーダーとして活動を始めたきっかけを教えてください。
日富ひよ: もともとスポーツ観戦がすごく好きだったんです。特に野球は小さい頃から家族とよく見ていましたし、バスケットボールやサッカー、ラグビーなど、本当にいろいろなスポーツを見ていました。
自分自身も小さい頃に水泳や器械体操を習っていて、スポーツにはずっと興味がありました。
そんな中で、何かスポーツの業界に関われる方法はないかなと考えていたときに、チアリーダーという存在を知ったんです。
試合中のタイムアウトなどで、チアリーダーが登場すると会場の雰囲気が一気に変わるじゃないですか。その姿に圧倒されて、「私もあの場所で踊ってみたい!」と思いました。
ーーもともとチアダンスの経験はあったのでしょうか?
日富: 実はチアダンスは未経験だったんです。高校時代はダンス部に所属していましたが、チアを専門的にやっていたわけではありませんでした。
プロのチアリーダーになりたいと思って、関西のスポーツチームをいろいろ調べていたときに、神戸のチームが目に留まったんです。
SNSでパフォーマンスを見たとき、チアダンスだけではなく、さまざまなジャンルを取り入れたダンスがすごく魅力的で。自分がこれまで経験してきたダンスも生かせるんじゃないかなと思いました。
ーー実際にプロのチアリーダーとして活動してみて、いかがでしたか?
日富: 最初は華やかなステージに憧れて飛び込んだんですけど、実際にはその裏にたくさんの努力があることを知りました。
当時は、試合会場となる体育館の設営をチアリーダーがお手伝いすることもあったんです。パフォーマンスの場を用意していただけることへの感謝を込めて、そうした活動にも取り組んでいました。
あとは、体力づくりや筋力トレーニングが本当に大変でした。
もともとチア未経験で、周りのメンバーに比べて自分のダンススキルが足りないことも自覚していたので、とにかく努力しました。
「応援のリーダー」として学んだ、諦めない心
2024年から2026年まで、2シーズンにわたってプロチアリーダーとして活動した彼女。
そこで得た経験は、現在のアイドル活動にも大きく生かされているといいます。
ーー当時の経験が、今のアイドル活動に生きていると感じることはありますか?
日富: 大きく2つあります。
1つ目は技術面です。アイドルは月に何度もライブがあって、歌いながら踊るので、本当に体力が必要なんです。
どれだけ激しく踊っても、息切れせずに歌わないといけないし、疲れた表情も見せられません。チア時代に鍛えた体力や、キレのあるダンスはすごく生きていると思います。
2つ目はメンタル面ですね。
アイドルって、人気の差などが目に見えてわかることもあるお仕事だと思うんです。もちろん落ち込むこともありますが、そういうときでも気持ちを切り替えて、前向きにステージに立つ力はチアで培いました。
ーー精神面でも、チアの経験が支えになっているんですね。
日富: チアリーダーって、いつでもポジティブでいなければいけないんです。
例えば、応援しているチームの試合展開が悪くなって、会場全体の雰囲気が沈んでしまうこともありますよね。
でも、そんなときこそ私たちチアリーダーは絶対に諦めない。「大丈夫! まだまだ応援しよう!」という気持ちで、最後まで会場を盛り上げるんです。
チアリーダーは、いわば「応援のリーダー」。
そうしたチアスピリットは、今の活動にも生きていると思います。
ーー応援するチアリーダーと、自分自身がステージに立つアイドル。パフォーマンスへの向き合い方に違いはありますか?
日富: 実は、すごく似ていると思っています。
私はチアもアイドルも、自分を魅せるためだけではなく、誰かのために踊るものだと思っているんです。
アイドルのライブには、お仕事終わりに来てくださる方もたくさんいます。
そんな方々に「今日も一日頑張ったね」「明日からも一緒に頑張ろう」と伝えられるようなパフォーマンスをしたいんです。
チアのときも、選手やブースター(観客)の皆さんのために踊っていました。
だから、チアもアイドルも、誰かの力になるためのパフォーマンスだというところは変わらないですね。
アイドル転身のきっかけは、大学の友人の何気ない一言
現在はアイドルとしてステージに立つ日富だが、かつては自分がアイドルになる姿を想像したことすらなかったといいます。

ーーアイドルには、以前から憧れがあったのでしょうか?
日富: アイドルを見ることは好きだったんですけど、自分がなるとは全然思っていなかったんです。
でも、大学に通っているアイドルの友人とご飯に行ったときに、「アイドルやってみなよ」と言われたことがあって。
そのときは何気ない一言だったのかもしれませんが、ずっと心に残っていたんです。
ちょうどチアとして活動していく中で、踊るだけじゃなくて、歌ったり、喋ったり、もっといろいろな表現に挑戦してみたいと思うようになっていて。
そんなときに、その友人の言葉をふと思い出しました。
それで今の事務所のホームページを見てみたら、ちょうど新しいグループのオーディションが開催されていたんです。
「もしかして、これは運命なのかもしれない!」と思って、応募しました。
ーー何気ない出会いが、新しい挑戦につながったんですね。
日富: そうなんです。今もその友人とは仲良くしていて、学校のこともお仕事のことも、たまにやり取りしています。
自分では想像していなかった道に進むきっかけをくれた、大切な存在ですね。
「ただいま、神戸!」バラバラだった点が、線になった日
2026年9月13日、神戸・TOTTEI PARKで行われた野外ライブ。
かつてプロチアリーダーとして活動していたホームタウンで、アイドルとして再びステージに立ちました。
ーー神戸でのライブでは「ただいま!」とおっしゃっていましたね。どんな思いが込められていたのでしょうか?
日富: 一言でいうと、今まで自分がやってきたことがつながった、という嬉しさです。
私は昔から本当にいろいろなことに挑戦してきたんです。
もちろん全部自分がやりたくてやっていることなんですけど、どこかバラバラだなと思っていて。
例えば、友達には10年以上ずっとバスケットボールを続けている人もいるんです。そういう一本の軸がある人を見ると、自分にはそういうものがないなって。
いろいろな経験をしていることは強みかもしれないけど、全部が点のまま散らばっているような感覚があったんです。
でも、今回の神戸でのライブで、チアとアイドルという2つの点がつながった。
自分がやってきたことが、ようやく線になった気がして。
それが本当に嬉しかったですね。
ーー当時のファンの方々との再会もあったのでしょうか?
日富: はい! チア時代から応援してくださっている方が、今もアイドルのライブに来てくださるんです。
変わらず応援してもらえることは、本当に嬉しいですね。
実は、チア時代に私が生み出した「ひよおこポーズ」というものがあるんです(笑)。
ーーひよおこポーズ! どんなポーズなんですか?
日富: 腕を組んで、ぷくっと頬を膨らませて怒るポーズなんです。
試合中にアウェー側の席に向かってそのポーズをしていたら、ブースターの方々の間でちょっとした話題になって。
「俺の前を通るとき、怒って!」ってリクエストされるようになったんです(笑)。
そこから、ファンの方同士で記念写真を撮るときにも、私がいなくてもひよおこポーズをしてくださるようになって。
今でもSNSで見かけることがあるんですよ!
アイドルになってからも、当時のファンの方と「ひよおこポーズでチェキを撮ろう!」となることもあります。
自分が作った小さな文化が、こうして残っているのは嬉しいですね。
ーー日富さんにとって、Bリーグのチアリーダーとして過ごした時間はどんな存在ですか?
日富: 本当に、自分を成長させてくれた大切な経験です。
チアとして踊るだけではなく、キッズチアのインストラクターも経験させていただいたんです。
子どもたちにダンスを教えたり、発表会の企画やMCを担当したり。プログラムや演出を自分で考えることもありました。
20歳くらいの大学生のうちから、そうした社会経験をさせていただけたのは本当に貴重だったと思います。
今も試合結果やチアの活動をSNSでチェックしていて、私自身も一人のファンとして応援しています。
本当に、私にいろいろなものを与えてくれた大切な存在ですね。
一音も無駄にしない。tune time capsuleが届けるパフォーマンス
「tune time capsule」は、2026年にデビューしたアイドルグループ。
チア時代に培った表現力を生かしながら、アイドルならではのパフォーマンスを追求しています。
ーー改めて、tune time capsuleの魅力を教えてください。
日富: まず、メンバー一人ひとりが本当にやる気があって、メンバー思いな子たちばかりなんです。
私は大学との両立があるので、どうしてもライブをお休みしなければいけないこともあるんですけど、そういうときも「大丈夫だよ」「頑張ってね」と応援してくれて。
スケジュールも私のことを気遣ってくれるし、お休みするときには私の歌やダンスのパートをカバーしてくれます。
本当にいい仲間に恵まれたなと思っています。
ーーパフォーマンス面で注目してほしいポイントはありますか?
日富: すごく細かい音まで拾っているところです。
メインのメロディーだけではなくて、後ろで小さく鳴っているドラムの音なども、ダンスで表現しているんです。
一音一音を無駄にせず、大切にしているところを見てほしいですね。
あとは、指先の動きやフォーメーションの移動など、すごく細かいところまでこだわっています。
髪の毛一本一本まで気を抜かないような感覚ですね。
おしゃれで繊細な楽曲も多いので、そういう細かい表現にも注目していただけたら嬉しいです。
ーーチアとアイドルでは、ダンスの表現にも違いがありそうですね。
日富: そこは結構違うんです!
チアは、全員の動きをミリ単位で揃えることが基本なんですよ。同じ人が何人もコピーされたような、ぴったり揃ったダンスを目指すんです。
でも、アイドルは一人ひとりの個性が大切なんです。
もちろん、全員が好き勝手に踊っていたら揃っていないグループになってしまうし、逆に全部揃えてしまうと個性がなくなってしまう。
だから、どこを揃えて一体感を見せるのか、どこで自分らしさを出すのか、そのメリハリが難しいですね。
ーーグループの中で、日富さん自身はどんな役割だと思いますか?
日富: ファンの方からは「元気だね」「エネルギッシュだね」と言っていただくことが多いです。
スタッフさんやプロデューサーさんからも「歌声がよく通る」「力強い動きができる」と言っていただくことがあって。
だから、グループのパフォーマンスのギアを一段階上げるような、エネルギーを与える役割なのかなと思っています。
でも、実は一人になると結構しょぼんとしているんですよ(笑)。
まだ自分自身の見せ方は模索中ですが、これからも自分らしい表現を見つけていきたいです。
阪大生、万博ボランティア、チア、アイドル。「なりたい自分を諦められない」
大阪大学での学業とアイドル活動を両立する彼女。過去には福娘や天神祭のうちわ娘、大阪・関西万博で英語を使ったボランティアにも挑戦してきました。
多彩な経歴を持つ彼女を突き動かしているものは、何なのでしょうか?
ーー本当にさまざまな活動をされていますが、新しいことに挑戦する原動力は何ですか?
日富: 小さい頃から、すごく好奇心旺盛だったんです。
あまり興味のないものがないというか、本当にいろいろなことに興味があって。
それと、私は「なりたい自分を諦められない」性格なんです。
負けず嫌いとも少し似ているんですけど、誰かに勝ちたいというよりは、自分が「こうなりたい」「これをやってみたい」と思ったら、それを実現したいという気持ちがすごく強いんです。
ーーいろいろな経験を重ねる中で、将来どんな自分になりたいと考えていますか?
日富: いろいろなことを経験しているということは、それだけ幅広い知識や経験を持っているということだと思うんです。
だから、これからもさまざまなことに挑戦して、自分が得たものを誰かのために還元できる人になりたいです。
私はダンスや歌だけではなく、本や映画、絵、美術館や博物館など、芸術全般が大好きなんです。
自己表現をすることももちろん好きですが、それと同じくらい、誰かのために何かを届けたいという思いが強いですね。
ーーアイドルとして活動する中で、これから叶えたい夢はありますか?
日富: 今はライブを中心に活動していますが、これからはライブ以外でも、いろいろな分野で活躍できるグループになりたいです。
個人的には英語や海外にも関心があるので、日本に住んでいる外国の方にも知っていただけたら嬉しいですね。
それに、子どもたちとの交流も大好きなので、海外の方からお子さんまで、本当に幅広い方々との架け橋になれるようなアイドルになりたいです。
ーー最後に、応援してくださっている方々へ、伝えたいことはありますか?
日富: 私は今、自分の好きな歌やダンスをお仕事にさせていただいています。
でも、自分の好きなことを仕事にできる環境って、決して当たり前のことではないと思うんです。
ファンの皆さんが応援してくださるからこそ、私はステージに立ち続けられるし、皆さんに元気を届けることができる。
本当にお互い様なんだと思っています。
それと、私は普段「元気だね」とか「しっかりしているね」と言われることが多いんですけど、実はみんなが思っているより弱いところもあるんですよ。
支えてもらいたいときもあるし、甘えたいときもあります。
だから、ただの「元気なアイドル」としてだけではなく、すぐ隣にいる一人の女の子くらいの感覚で見てもらえたら嬉しいです。
ーーこれから日富さんを知る方にも、メッセージをお願いします。
日富: 少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ直接会いに来てほしいです!
私たちは月に20回以上ライブをしていて、関西だけではなく、名古屋や東京にも遠征しています。
無料で見られるライブも積極的に開催しているので、ぜひ一度、生のパフォーマンスを見ていただきたいです。
騙されたと思って、一度会いに来てください!
チアリーダーとして応援の力を学び、アイドルとしてその思いを届け続ける彼女。
アイドルとして、そして一人の表現者として、これからの活躍が期待されます。
カメラ:STUDID221B 前川元(@221bjournal)
