「あなたと描く偶像の物語」をコンセプトに、2024年10月20日にデビューを果たしたアイドルグループ「このアイドルはフィクションです。」。彼女たちは、デビュー曲『偽りのソサエティ』は映画のようなミュージックビデオとストーリー性のあるパフォーマンスを披露し、注目を集めている。
そんな彼女たちを支えるのが、映像会社「Shu Production」の代表であり、監督・クリエイティブディレクターとして数々の映像作品を手掛けてきた前田柊氏だ。今回は、彼の視点からグループ立ち上げの経緯や今後の展望について語ってもらった。
グループ誕生の背景
ーー「このアイドルはフィクションです。」立ち上げのきっかけを教えてください。
もともと映像業界でドラマや映画の監督を目指し、映像制作に携わってきました。その中でアイドルのMVを手がける機会が増え、日本のエンタメの根底にはアイドル文化があると気づいたんです。アイドルを主役に据えたエンタメ作品が多いように、アイドルはこの業界の中心にいる存在だと確信しました。そして、いつか自分のプロダクションでアイドルを作ることが目標になり、2021年に「Shu Production」を立ち上げました。
しかし、アイドル活動を支えるには莫大な資金が必要でした。そのため、まず映像制作や動画メディア事業を展開し、資金を蓄えることからスタート。2024年に満を持してアイドルグループの本格立ち上げに踏み切ることができたんです。
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映像プロダクションだからこその強み
ーーグループ名にはどのような思いが込められているのでしょうか?
グループ名は「このドラマはフィクションです。」という映画でよく目にするテロップから着想を得ました。私たちのアイドルはあえて“フィクション”を打ち出し、映像的な演出とストーリーを活かした唯一無二の存在にしたかったんです。
ーー映像会社ならではのアプローチを、早速MVから感じられました
やはり映像制作が最大の強みです。映画やドラマを手がけるスタッフと、どのグループにも負けないクオリティの映像を作れる環境があるので、ストーリー性のあるMVが作れました。「このアイドルはフィクションです。」のコンセプトにも繋がる作品づくりができたと思っています。
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物語を紡ぐ“共創”アイドル
ーーこのアイドルグループのコンセプトを教えてください。
私たちは“物語系アイドル”をテーマに、ライブにもストーリー性を取り入れています。アイドルが成長していく姿を応援してもらうことで、ファンの方自身も物語の一部になれるのがこのプロジェクトの魅力です。また、ファンのことを“エディター”と呼び、SNSでの拡散や共創を通じて、グループを共に作り上げていく文化を育てています。
ライブ中の動画撮影OKという試みも、ファンの皆さんと一緒にストーリーを共有したいという想いから始まりました。
ーー早速オリジナル曲3曲がサブスク配信されていますが、楽曲に込めた想いをお聞かせください。
どの楽曲も、その歌詞の奥には社会が存在しています。アイドルというエンターテインメントの中心にいながらも、その背後でいじめや孤独、誹謗中傷といった現代社会のリアルな課題と向き合う。それが、このグループの根底にある物語です。
公開された『偽りのソサエティ』のMVにも表現されていますが、いじめなど過激に思えるテーマを描くのは、現実がそれ以上に酷いからです。現代では、SNSが簡単に人を傷つけてしまう道具になっています。アイドルも例外ではなく、売れていけば必ずアンチが現れます。そして時に、その言葉で命を絶ってしまう人もいる――そういった悲しい事実に向き合い、メッセージを発信しなければならないと考えています。
ーー映像はもちろん楽曲制作にも真剣な姿勢で取り組まれているのが伝わってきます。
悲劇を描くなら、中途半端な表現では意味がありません。ただ暗いだけではなく、その中にある強さや希望をしっかり描くことで、見る人、聴く人に本当に伝わると信じています。
ーー最後に今後の展望を教えてください。
当面の目標は「地上デビュー」を実現することです。
しかし、私が考える“地上”とは、単にCDリリースや武道館ライブを指すものではありません。それを達成していても、必ずしも「地上に立つ」とは言えないグループが存在するからです。
私の定義する“地上”とは、「アイドルに興味がない人でも彼女たちの名前を知っている状態」。最終的には、それくらいの認知度と影響力を持つグループを目指したいと考えています。
3月には演劇要素を盛り込んだワンマンライブを予定しています。このライブを通じて、彼女たちがさらに成長する姿を見せたいですね。
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グループのコンセプトやメッセージ性、映像へのこだわり――どれをとっても唯一無二の存在感を放つ「このアイドルはフィクションです。」。新たな時代の物語系アイドルとして、彼女たちが描く未来に注目が集まる。