【七瀬聖・卒業記念特別対談(後編)】プリンセス物語・七瀬聖と、旧友である若手芸人が、エンタメについて語り合ってみた

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ライブアイドルと、若手お笑い芸人。
表現の形こそ違えど、なにかと共通点の多いこの二つ。

筆者はアイドルライターとして筆を執らせていただいていると同時に、普段は東京でのライブ出演を中心に活動する若手お笑い芸人でもあります。

そんな私の、業界入り前からの同い年の旧友であり、奇しくも同時期に業界に身を投じた、名古屋を中心に活動するアイドル、七瀬聖(プリンセス物語)。

そんな彼女が今回、グループからの卒業を発表したということで、気の合う親友として、また、同じく業界で戦ってきた仲間として、対談の場を設けることに。

彼女が2年半の活動を経て感じたこと、アイドル業界への想い、エンタメを志してきた友人同士だからこそ言える本音を熱く語り合ってきました!!

プリンセス物語ファンの皆様はもちろんのこと、全てのライブアイドルファンの皆様、そして今まさにステージに身を投じている皆様に、届けたい記事となっております。
ぜひ、最後までお付き合いください!

<前編>はこちらから

<前編>では、プリンセス物語としての2年半の活動を振り返り、思い出を掘り下げた二人。
この<後編>では、二人のステージへのこだわりや、エンタメ業界への想いについて語り合いました。

***

今回の対談の会場は、名古屋市熱田区にひっそりと佇む【Bar輪倶(リンク)】。

バリのデザイナー監修の元、シックで落ち着いた空間が広がる店内で、おしゃべり好きなマスターが軽妙に歓迎してくれます。

プリンセス物語のオフ会などでも使用され、七瀬・堤はプライベートで訪れることもあるなど、ゆかりのある場所で、二人が本音で語り合います。

堤:これだけアイドルとして活躍してきてさ、色んな人に影響を与えたりリスペクトを持ってもらえたりしてんだから、もっと自分に自信持ちゃいいのに、ってずっと私はあなたに言ってるわけよ(笑)
七瀬:でもね、私、何に関しても自信がないわけじゃなくて。それこそ生誕でやったような、自分の組むセトリだったりには、めっちゃ自信あるよ
堤:いいねぇ!!(笑)でも、あれはそれぐらい言ったっていいと思う!!
七瀬:セトリってさ、ライブの本数が多くなってくると、安易に「湧くからやろう」ってなっちゃいがちだけど、私はセトリに意味を持たせないと、やる意味がないと思ってるから。曲調だけじゃなく、歌詞の意味だったり、このライブ、20分とか30分で何を伝えたいかってことを満たしてないと意味がないなって。
堤:いやぁ、分かるよ
七瀬:新規さんが多い現場、だから湧く曲をやろうとか、それもいいと思うけど、私は、意味のあるセトリで、ちゃんと見てくれた人に、何かしらを感じて帰ってもらいたいなって
堤:この取材の前も、ソロのステージのセトリ組んでたけど、セトリでドラマやストーリーを表現しようとしてるのは見てるだけで伝わってきた。……でもその努力って伝わりにくいんだよねぇ、アンタの努力って全部そうよね、損してるねぇ(笑)
七瀬:でもねぇ、細かいところにこだわりたくなっちゃうじゃん

堤:見てて思うんだけど。正直、アイドルってさ、粗くてもなんとかなっちゃう側面があるじゃん。表現するものもさ、歌って踊るだけじゃなくて、演技だったり、おしゃべりだったり、グラビアだったり。そういう総合格闘技的なエンタメだから、その人自身の魅力があれば、技術的に荒削りでもどうにかなっちゃうって部分があると思うのね
七瀬:確かにそうね
堤:で、一歩間違っちゃうとそこに胡座をかいてしまうわけで。なんならその方がコスパがよかったりもするし。でも聖ちゃんは、あくまでアイドルっていうのは根本にあるのはショーなんだ、っていう姿勢を感じる。だからこそ、ファンの方だけじゃなくても、関係者の方からリスペクトしてもらえたりするんだろうね。それはね、忘れちゃいけない部分だよね
七瀬:忘れちゃいけない部分だけど、忘れちゃってる人もたくさんいる部分だからね

堤:今アイドルになる子って、どういう気持ちでなってるんだろ
七瀬:チヤホヤされたい、が大きいんじゃないかな、「アイドル業界をなんとかしたい」って思ってる子はあんまいないと思う
堤:そんな奴はそうそういないよ(笑)。でも承認欲求はすごい大事だと思うし、なんなら聖ちゃんはそれをあまり分かりやすく出さないタイプだったから、損してる部分もあったわけで。持ってていいものだと思う。でもその承認欲求は、「アイドルは最低限これだけのエンタメが作れなきゃいけない」ってことありきじゃなきゃいけないよね
七瀬:だからね、これ、記事に使えるか分かんないけど(笑)、だから私はジャニーズさんが好きだったのよ。ジャニーズって、色んなエンタメの最先端だったじゃない
堤:それこそコンサート演出だったりね
七瀬:もちろん良くないところはあったけど、エンタメとしては、「Show must go on」を一番体現してて、だからこそトップのアイドル事務所だったんだろうなって思うのよ

七瀬:なんの対談だって話だけどね(笑)
堤:いやこういうのを記事にしたかったのよ俺は、普段も俺たちこんな話ばっかしてるし
七瀬:ジャニーズさんが事務所としてなくなった今、アイドルだけじゃなく、日本におけるショービジネスが廃れてっちゃうんじゃないか、って私は思ってて
堤:持つべき矜持みたいなものが失われてっちゃうんじゃないか、っていうのは分かるかも
七瀬:それこそ私が元々関わってたミュージカルとかも、やっぱジャニーズの方が出てるのって華があったけど、最近出れなくなって、ミュージカルの露出自体が減ってる印象があって。全部繋がってると思うんだよね
堤:関連した話で言うとさ。我々Tiktok挫折勢じゃない
七瀬:Tiktokは苦手です(笑)
堤:今の時代必要なんだろうなと思って頑張ってたけど、「性に合わん!」っていう(笑)。でもそれこそさ、エンタメ、メディアの変遷で言うとさ、映画があって、テレビがあって、YouTubeがあって、今Tiktokって、なんかだんだんジャンクになってってる気がしてさ
七瀬:分かる!!!いやTiktokのあの秒数で、何を詰め込めるかってすごい工夫だと思うんだけど、それこそジャニーズさんが最近Tiktokに参入してきて、実際見たら、「なんか安っぽくなっちゃったな」、って正直思った。簡単に見れてしまうし。ショービジネスで食っていこうと思ってる人間がそれでいいのか、っていう。アイドル業界に関しても、それが主流になってしまった結果安っぽくなったら、お金を払ってエンタメを見たいって思ってもらえなくなるんじゃないか、って思う
堤:見る手側もそうだよね。音楽でも、サビまでの秒数が短くなってたり、それこそ「Tiktokでバズるため」みたいな曲作りをしてるって聞くしね。

堤:とはいえ我々は供給する側だからね。需要があってこその存在だから、どうしても、自分達の目標のために、時代だったり世の中が求めるものに合わせてやらなきゃいけないって部分はあるよね
七瀬:でもTiktokがここまで主流になる前だったら、人気の曲も変わったりしてたと思うんだよね
堤:それはそうかもね。やっぱジャンクになってってるのかもしれないね
七瀬:それこそ今だと、Tiktokerさんがアイドルになるとか
堤:あるよね。数字も持ってるし
七瀬:そのグループさんがちょっと人気になったりするじゃん。でもそこの人って、Tiktok出身だから、Tiktok向けのエンタメで止まっちゃうじゃん
堤:そのノウハウでやってきてるからね
七瀬:だから、そこからエンタメが発展しないんじゃないかっていうさ。私が「七瀬歌舞伎」を作りたかったのはそういうこと。その風潮を変えたかった。
堤:その志は、あなたの生誕ですごく感じましたよ
七瀬:でもあの生誕も、ちくさ座を満員にできたわけじゃないじゃん。それは私の集客力だったり、インフルエンサーとしての力が足りなかったから。満員にするためには、それこそTiktokだったりを力入れてやるべきだったんだろうけど、それをやらずとも成し遂げたかった
堤:ショービジネスの二律背反というかね。そもそもビジネスとして、お客さんを呼べなきゃ成り立たないっていうのはあるわけで。それを放棄して「やりたいことだけやるから、見たい奴だけ着いてこい」ではいけないしね。
七瀬:ぜひ皆さん「Endless SHOCK」を見て欲しい。あそこにショービジネスの全部が詰まってるから
堤:ついに宣伝に入った(笑)

【今後のプリンセス物語に願う事】

堤:今後、プリストにはどうなっていってほしい?
七瀬:今さ、あやねちゃん(浅井あやね)が女優さんやってたり、桜空ちゃんがシンガーやってたり、それぞれが活躍できる場があって、それが集まったのがプリストだと思うの
堤:俺もそのイメージだわ
七瀬:それぞれの活躍の場で売れていって、それが集まってプリストでライブをして欲しい
堤:分かる。「それぞれの物語で主人公になれるメンバーが集まったグループ」がプリストだと思うから
七瀬:うちらの代表曲の歌詞でもあるじゃない。「それぞれ綴る物語の交差点」なんだよ。「七転んでも八起きよ どこまでも行ける」、みんなには『イベントホライズン』の歌詞を忘れないで欲しい

【堤がやり残した事】

堤:俺さ、世に出てなかったり形になってないものも含めて、プリストに関して、色々企画したりしてるじゃない。聖ちゃんだけには全部話してるけど。
俺は聖ちゃんが卒業してからもプリストには関わり続けていくけど、聖ちゃんがいる間に実現させたかったこと、色々あるなぁと思ってさ
七瀬:私ね、以外と嫉妬しいだから、「私いないのにやるんだ……」って、絶対なる(笑)
堤:ハハハ(笑)
七瀬:いや、「知らんがなお前が辞めたんやろ」って話なんだけどさ(笑)

堤:そういう部分を持ってんだから出せばいいのにさ、出さずに一人で悶々としてたりするじゃない
七瀬:でも、最近素直になったと噂の私、言うようになりました!(笑)
堤:偉い!!(笑)
七瀬:でも私ね、物販の時にアイドルが、「他の子のところ行かないで」って言うやつ、あれは嫌なの。ヲタクって、あくまで趣味だから。ヲタクに「他の子のところ行かないで」って言いながら、自分は色んなヲタクと喋ってたら、対等じゃないじゃん
堤:生真面目だなぁ……(笑)
七瀬:それは嫌なの。だから「行かないで」とは言わないの。ただ、「嫉妬してないと思った?」って言う(笑)
堤:めんどくせぇ女(笑)いやでもそういう、生真面目で高潔だけど、そのせいで自分を縛ってる、みたいなのがあなたという人間を形成してる気がするわ
七瀬:全て素直になってしまったら私ではないからね
堤:俺はそこにすごい共感ができるから、聖ちゃんが人として好きなんだと思う

【七瀬聖の今後】

堤:アイドルを卒業して、演者としてこれからどうなっていくか、まだ固まってないんだもんね?
七瀬:決まってないねぇ
堤:だからこれから共演できるかも分かんないけど、これでもし「演者はもうやらないかな」ってなったら、俺結構凹むと思う
七瀬:凹ませてやろーぜ(笑)
堤:その為に演者辞めんなよ(笑)でもそれぐらい、あなたはひとりの友達の夢も背負ってたんですよ?
七瀬:私、ディズニープリンセスだったんですね(笑)
堤:でもアイドルってそうじゃない?色んな人の夢を背負ってるっていうか。そんなプリンセス物語としての2年半だったと思いますよ。きっと、あなたのことをちゃんと見てた人なら、たとえあなたが推しじゃなかったとしても、伝わってたと思いますよ

堤:とはいえ、寂しいね。いやどうなったとしても、この先もずっと友達ではあると思うけど
七瀬:でもエンタメにはずっと携わり続けると思うよ。色んな形でね
堤:そうであって欲しいな。おとなしく専業主婦とかやってたら、怒鳴り込みに行くと思うわ(笑)
七瀬:できないと思う(笑)。暇な時間ができたら、実現するかも分かんない公演のセトリを組んだりしちゃうだろうし
堤:でもその感じむっちゃ分かる(笑)
七瀬:「この対バンさんでこの香盤順だったら盛り上がるな」とか、オフ会の企画とか考えちゃうと思う
堤:俺さ、努力を努力と思わない人がその業界にいるべきだと思うの。だから、自然にそれを考えちゃうあなたみたいな人は、エンタメをやり続けるという業をこの24年生きてきて背負ってしまったわけだから、何かしら作り手でいて欲しいなって思う
七瀬:一応まだアイドルだからあれだけど、一旦結婚してから考えたいね(笑)
堤:絶対先に結婚してやろ(笑)
七瀬:絶対負けねぇ(笑)
堤:でもそれも楽しみだね、お互い結婚してさ
七瀬:でも結婚したりしたら、人生経験も増えて、役作りに繋がるだろうなって
堤:一旦一線を退こうとしてる奴の発言じゃねぇよ!!一生演者やってろよそんな奴!!(笑)
七瀬:でも、そうやって色んな経験を経て、レベルアップした自分で、ステージに戻ってきたいね
堤:それはすごい楽しみだわ
七瀬:いつになるか分かんないけどね(笑)
堤:だから、この卒業っていうのは、表現者として、エンターテイナーとして、もう一段進むための、プロセスってことね
七瀬:そうです!!
堤:よし、まとまった!!(笑)

堤:最後に、ファンの方に伝えたい事はあります?
七瀬:これ、記事に使えるか分かんないけどさ
堤:なによ
七瀬:私、よく、ファンの方と繋がりたい、って言うじゃない
堤:もう使えねぇよ(笑)
七瀬:でもそれってもちろん下心ではなくてさ、ファンの方もそれぞれ色んな経験をしてきてるわけじゃない
堤:アイドルとそのファン、って関係じゃなかったら出会えてなかった人もたくさんいるだろうね
七瀬:だから、いつか私に、あなたの人生についてゆっくり聞かせてね。その時は、奢ってね。……って書いといて。(笑)
堤:承りました!(笑)

七瀬聖 卒業ライブ
「G-STAGE -Another worldへの旅立ち-」
2023.12.30 18:00 START
@レジェンドホール

↓チケット販売リンク
https://t.livepocket.jp/e/g-stage_another

プリンセス物語 七瀬聖 公式X(旧Twitter)
https://x.com/pristo7se?s=21

ふたりはリバース 堤悠真 公式X(旧Twitter)
https://x.com/reversetsutsumi?s=21

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